消防隊放水長:近藤俊二先生
昭和63年横浜市消防局(現安全管理局)採用。現在、消防隊放水長。
内規資格としては、救急II課程隊員、はしご消防車機関員。
一方、高1から27歳までラグビー選手⇒以後コーチに。
1989年にカナダのバンクーバーで行われた第3回世界警察消防競技大会
(オリンピックの次に大規模な世界大会と言われている)の
7人制ラグビーにも出場した。
現在は横浜市立谷本中学校ラグビー部コーチと、
山口真理恵(現在女子ラグビー日本代表)パーソナルコーチも務める。
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1)もしも貴方の大変お世話になり、頼みごとを断れない立場の方から、
『どうしてもウチの息子は気が弱い。これは今後の人生において大きな障害になる。
なんとか1年で、どんな障害にも負けずに人生を強く生き抜く人間にしてもらえない』
と依頼されたら、何をどのように指導しますか。お金や手法に制限はないものとします。
その際、指導上のコツなどございますでしょうか。
●何が弱いのかを一緒に見つけ、認識させる。
まず「何が弱いのか」(怖いのか、不安なのか)を一緒に見つけていきます。
それをより具体的に本人の口から発言させ、ノートに書きます。
そして次に、何が得意なのかを同様に発言させ、ノートに書きます。
文字に残すことにより、私と本人の認識をリンクさせることができます。
次に、書き記したものの中から、それが職務において、また人生において
問題になるものなのかを考えていきます。
もしそれが重要な問題であるとしたならば、本人の課題として
修正改善する方法を考えていきます。
私の経験上、気が弱いと思っている人のほとんどは、
実際に何のどの部分が弱いのかを知らないことが多いです。
具体的に何が弱いかを知ることで初めて改善の方向性がわかってきます。
また、部下や指導対象としている相手に「お前は気が弱いなあ」とか
「もっと自信を持て」とか言っている人のほとんどは、どうすれば強くなれるのかとか、
何のどの部分に自信を持つのか、までアドバイスをしていないことが多いです。
根拠のない自信ほど「もろい」ものはありません。
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2)上記のようにお考えになる理由として、気が弱かった子が気が強くなった事例や、
内向的だった子が積極的になったなどの指導経験やエピソードをお聞かせ下さい。
消防隊員として勤務していると、絶対に避けられないのが
「高所作業」と「危険区域への進入」です。
特に前者については、高所恐怖症といわれる人には最悪の条件です。
しかし、消防のプロとして勤務しているわけですから、
「高いところは嫌いだから、俺は行かないよ」なんて言ってはいられません。
今回はそれ(高所恐怖症)を克服した事例を書くことにします。
一言で高所恐怖症と言っても、さまざまな種類があります。
・ とにかく高い所が嫌い(怖い)。
・高い場所を見上げるだけで怖い。
・柵があったり、足場がしっかりしていれば大丈夫。
などなど、人により多様です。
私が勤務している消防署には35m級の梯子車があり、中高層建物での災害には
梯子車を使用し救助することも考えなくてはなりません。
しかし、助ける側が高所恐怖症では話にならないのは想像がつくことですが、
実際にそういう人物(以降、A消防士と呼ぶ)が勤務しているのが現実です。
そこでA消防士に対して、どうにかならないものかと行動をおこしてみました。
まずは、本当に高所恐怖症なのか?ということを確認するために彼と話をすると、
ある条件がそろっていれば大丈夫であることがわかりました。
その条件とは以下のようなことでした。
・直接地面が見えなければ大丈夫
・自分がいる場所が狭くなければ大丈夫
・命綱があればやや安心
・(風等で)ゆれなければ大丈夫
他にも細かい条件がありましたが、私には、彼は高所恐怖症だと思いこんでいるだけだと感じました。
そこで、最初に高さの限界はどのくらいなんだろう?と、そのことについて調べ始めました。
1:イスの上に立つ・・・もちろん全然平気
2:3段の脚立(1m程度)の上・・・全然平気
3:7mの金属梯子・・・やや怖い。
4:建物3階部分のベランダ(10m程度)・・・柵があるから平気
5:3階建て建物の屋上(柵無し)・・・立ったまま下を見ることができない
上記「5」の程度が、彼のその時点での限界突入点と考え、
まずは「3」の7m程度の高さでの作業になれるような訓練をしました。
ここでアドバイスしたのは、次のようなことです。
「自分の安全を確保するために必要なことは、ここから落ちたらけがをすると言うことを忘れないこと。
怖いと思っている間は絶対に落ちないし、けがもしない。だから今怖いと思っていることそれ自体が
安全な作業に必要な感覚である。
ではいつ事故が起きるのかといえば、そのことについて慣れてしまった時である」
私は、彼の恐怖心について認めてやることで、その恐怖心を悪いものだという感覚から
遠ざけたいと考えました。
・高所恐怖症の人が高所に上がることは危険なことだ。
と考えるより
・高所恐怖症だが、安全対策をしっかりすれば危険ではない。
と考えた場合、両者にはかなりの差があり、前向きだということに、彼も気付いたのです。
何事もこの「気付き」が重要で、自らが気付くことにより、
自らが行動を起こすためのきっかけになります。
「高いところは怖いけれど、安全であれば問題はない」
安全対策を施し、7m程度での作業訓練を重ねた結果、彼はそんな感覚に変化していきました。
地面から足がはなれることですら嫌だった者が、このような発言をするようになったのは
大変な向上です。
「高いところは怖い」という感覚を否定せず、怖いのは仕方がないが安全に対する意識は
強くなるというプラスの方向で考えていった結果、かなりの効果が認められました。
現在の彼の感覚はこうです。
「相変わらず高い所は怖いけれど、ただ怖いと言うだけですよ。別に落ちる訳じゃないから大丈夫です。」
●一番のポイント:現状を認め、感覚を確認させながら訓練。
(編集後記)前回の刑事さんに続き、今回は消防士さんへのインタビューが実現しました。(皆様のご紹介
のおかげです。ありがとうございます!)
まず前半の「自分で気が弱いと思っている人も、どこがどう弱いか知らない」というのはミソだと思いました。欠点を知っていると思いながら、漠然としかわかっていない、だから、たとえば上司から「(欠点を)直せ!」と言われても、なかなか直せないのでしょう。
後半のエピソードでは、近藤先生のディティールの細かい訓練に感動しました!一般的な企業においても、上司が部下にここまでしないと結果が変わらないケースも多いと思います。(骨は折れますが。)
記事は増えても、毎回新鮮な発見を頂いております。あらためて御礼申し上げます。(宮本)
●近藤先生を紹介して下さった村田祐造先生から、お知らせです。
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(07/11/18)
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